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パラリンピックから考えるオフィスのバリアフリー

リオオリンピックが閉幕すると、次はパラリンピックが始まります。2020年の東京オリンピックでも、世界中から多くの障害者の方が競技に参加されるでしょう。それに合わせて、東京周辺でもバリアフリーへの対応が始まりつつあります。

パラリンピックがあるからというだけではなく、障害者の方に優しい街づくりは今後さらに重要となりますが、それは街の中だけに限ったことではありません。建物やオフィスのバリアフリーでも同じことが言えるはずです。

そこで今回は、オフィスのバリアフリーについて考えてみましょう。

 

日本における障害者雇用の実態

バリアフリーはアメリカから始まった

バリアフリーとは、第2次世界大戦による負傷で障害をもつ人の社会復帰に対応するために、アメリカで考え出されたものです。具体的にはオフィス内を車椅子で移動し、仕事をしても支障がないように、階段をなるべく避けスロープなどをつくる、通路を広げる、デスクや引き出し書庫の高さを調整するといったことが基本となります。

障害者雇用は増加しつつある

厚生労働省の調査によると、2015年の障害者雇用は45万3千人となっています。雇用者数は12年連続で過去最高を更新するなど、日本においても障害者雇用は着実に進展しています。

これは2002年に改正されたハートビル法も影響しています。ハートビル法とは不特定かつ多数が利用する建築物において、高齢者や身体障害者などがスムーズに利用できるような整備の促進を図ることを目的につくられたものです。この建築物の中には2,000平方メートル以上のオフィスも含まれ、大企業を中心に障害者の雇用がしやすい環境になってきています。

中小企業での雇用は大企業ほど進んでいませんが、上述したように東京オリンピックを控え、特に東京周辺では今後、バリアフリー化が急速に進められていくでしょう。そうした中で、オフィスのバリアフリー化は企業イメージアップにもつながるなど、障害者の方にはもちろん、それ以上に多くの効果をもたらしてくれそうです。

 

オフィスでのバリアフリー対策

では具体的にオフィスで行うバリアフリー対策についてご説明していきます。まずはレイアウトです。基本的にバリアフリーは車椅子での移動を考慮したものになるため、通路は少なくとも90cm以上の幅が必要となります。

またスタッフが背中を合わせる形のレイアウトの場合、デスクとデスクの距離が広かったとしても、椅子に座るスタッフ間の距離はそれよりも大分狭くなります。そのためデスク間の距離は、余裕をもって2m程度は取った方がよいでしょう。

デスクは高さ、幅ともに車椅子で入ることができる下肢空間を確保できるものが必要です。ほかにも引き出しの使いやすさなど、作業のしやすさにも細かい配慮が必要となります。

さらにPCや電話、OA機器などの配線を床の下に入れるフリーアクセスフロアにし、できる限り段差をなくしたり、多目的トイレや点字ブロックの設置などもバリアフリーには重要なポイントとなります。


 

精神面のバリアフリーも大切

ここまで物理的なバリアフリー対策についてご説明してきましたが、それ以上に重要な問題があります。それが障害者の精神面に対するバリアフリー対策です。どんなに物理的な部分でバリアフリー対策ができたとしても、そこで働くスタッフに障害者に対する差別意識があったりすれば、気持ちよく働くことはできません。

必要以上に気を使う必要はありませんが、変な差別意識は捨てほかのスタッフと同じように接し、困ったときには助けるといった環境をつくることができなければ、本当の意味でのバリアフリーは達成されません。

いきなりすべてをクリアすることは難しいかもしれませんが、少しずつでも物理的、精神的ともに配慮していくことが、これからのオフィスのバリアフリーに必要とされていることかもしれません。