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コラム

ユニバーサルデザインとダイバーシティについて考える

 

オフィスに浸透しつつある「ダイバーシティ」の考え方。そのダイバーシティを実践するのに大切なのが、性別や年齢、ハンディキャップの有無や国籍など関係なく誰もが使いやすいデザインである「ユニバーサルデザイン」です。

 

誰にとっても使いやすいオフィスデザインについて考えることは、ビジネスを成功させるうえでも大きなポイントとなります。

 

オフィスにダイバーシティが求められる理由

 

経済産業省では、2012年より毎年「ダイバーシティ経営」への積極的な取り組みを行っている企業を「ダイバーシティ経営企業100選」として選定し発表しています。現在、日本が国としてダイバーシティを推進する背景には、少子高齢化による将来的な人材不足に備えるということがあります。

 

また障がい者の法定雇用率の達成、2016年4月に施行された女性活躍推進法による女性管理職増加の推進などといった制度が、結果としてダイバーシティ経営の後押しになっているという側面もあります。

 

しかしそれ以上に性別、年齢、人種・民族、国籍、宗教などが多様なスタッフの活躍を進めることで、これまでになかった柔軟で斬新な発想を生み出し、変化の激しいグローバル経済で日本企業が生き残っていくことが、ダイバーシティ推進の大きな理由として挙げられます。

 

オフィスデザインも変化が求められている

 

これまで日本企業は男性が中心で、年齢層も似たような属性を持つ同質性の高いスタッフによる組織形態で、それほど多様性はありませんでした。しかしダイバーシティが推進されることにより、これまでの組織形態は大きく変革せざるを得なくなっています。

 

組織形態が変われば当然、働き方も変わってきます。そして性別、年齢、人種・民族、国籍、宗教などさまざまな背景を持った従業員が、ひとつの同じオフィスで働くとなればそのデザインも変革が求められます。

 

今こそオフィスにユニバーサルデザインの考えを

ただしデザインといっても、高齢者や障がい者のためのバリアフリーはこれまでにも多くの企業が採用していると思います。しかしダイバーシティでは高齢者や障がい者だけではなく、女性や外国人などすべての人々に対して使いやすいデザイン、いわゆる「ユニバーサルデザイン」の考え方が必要となるのです。

 

 

オフィスにおけるユニバーサルデザイン

 

ユニバーサルデザインとは、高齢者や障がい者のためだけのデザインであるバリアフリーと違い、設計の段階から性別、年齢、人種・民族、国籍、宗教や障がいの有無に関わらず、誰もが公平に使えることを考慮したデザインです。

 

ユニバーサルデザインを提唱したアメリカのロン・メイス博士は、以下の7つ提案をしています。

 

1.公平性 すべての人がいつでもどこでも同じように使えること

2.自由度 右利き、左利きなど個人の特性に関わらす思い通りに使えること

3.簡便性 使い方が簡単であること

4.明確さ 分かりやすい情報で理解ができること

5.安全性 仮に間違った使い方をしても怪我をするといった危険性がないこと

6.持続性 長時間使っても疲れないこと

7.空間性 使う人の姿勢、動きなどに関わらず楽に使いこなせること

 

これらの提案を元にオフィスデザインをすることが基本となります。

 

ダイバーシティ経営を成功させるには

 

具体例としては、車椅子であっても自由にどこへでも移動できること、視覚や歩行に配慮が必要な人に危険がないよう床はできる限りフラットにし、余計なものを置かないようにすること、デスクやチェアも長時間使っても疲労度が少ないものを選ぶこと、万が一の避難経路がすぐに分かるようにすることなどが挙げられます。

ダイバーシティは今後の企業経営、そして人材採用の面において非常に重要となっていきます。しかし単純に誰に対しても採用の門戸を拓くといっても意味がありません。まずはユニバーサルデザインでそういった人材を受け入れる態勢をつくることが、ダイバーシティ経営を成功させるための大きなポイントとなるでしょう。